洋太は脳裏をよぎる悪夢を振り払うように、目を閉じ、そしてゆっくり振り向いた。

入ってきたその男を――。

ダークスーツを着て、黒いサングラスを掛けている男の手を――。。

彼はサイレンサー付きの銃口を雨の母親に向けていた。

その異質な男に、洋太はようやく正常な思考を取り戻した。しかし、その代わりに二つの感情が一気に洋太の思考を支配した。

驚きと、恐怖。

「なっ、何を−−」

洋太が戸惑っていると、ダークスーツの男が銃口をこっちに向けて太い声で話しかけてきた。

「私はJCOの者だ。上からの命令でお前を・・・・・・助けにきた」

洋太は何が起きているのかわからなかった。ただただ自分に向けられている物に怯えるしかなかった。


ハッカー編終わり