マー君(原作)

気づけば、手当たりしだい物をベットがある壁に投げつけていた。

服でも、ジュース缶でも、本でもなんでも、携帯電話も――。

携帯電話は壁に思いっきり当たると、鈍い音を立てて、ベットと壁の隙間へ消えていった。
 
額から大粒の汗がこぼれる。

ただでさえ、汗をかきやすい体質なのだ、こんなのに付き合っていたら体中の水分がなくなっちまう! 

もう、もう、頭がおかしくなりそうだ!

やっぱりこんなことするんじゃあなかった。

するんじゃあ――。

マー君の話なんてするんじゃあなかった! 

全部俺が悪いんだ、俺のせいで皆死んだ、死んだ、死んだ、死んだ、死んだ。

・・・・・・死んだ。

「俺が、俺が、俺がっ、何したっていうんだあああああ!」
 
もう夜だというのにかまわず叫び散らしていた。

そうでもしないと、本当におかしくなりそうだった。

もう何もかもわからなくなっていた。

自分が誰なのかも、何をしているのかも。

何もかも。