マー君(原作)

顔を拭うと、だいぶ落ち着き、改めて部屋を見回した。

明るい部屋にあちこちの壁に貼られた芸能人のポスター、それにぬいぐるみ――。どうやらここは彼女の部屋で間違えなさそうだ。それとも姉の部屋だろうか?

まあ、男を部屋に連れ込む行為は女性にとっては隠しておきたい所だろうから、後者はないだろうが。

「ここ、君の部屋?」

女は何も言わず軽く頷く。ただでさえ、女が苦手な成幸にとって、このタイプの女は話しかけにくかった。

それでも、助けてもらったのだから、何も言わないわけにはいかない。だが、やはり言葉が出ない。こんなすぐ近くにいられると尚更だ。

成幸が黙っていると、女が始めて顔を歪めた。

「あなた、苦しんでいた。お母さん、あなたを苦しめた。マー君信者があなたを、苦しめた。

だから、私あなたを助ける」

どうやらこの女も男が苦手のようだ。それとももともとこういう性格なのだろうか?

成幸は黙って彼女の話を聞いた。

「私も、マー君信者を許さない。あいつら、私の親友を殺した。だから、許さない。絶対に」