今思えばマー君なんかに近づかなければこんな目に会うことなどなかったのに。

奴らは僕がマー君の秘密を知ったと思っているはずだ。それもそのはず、僕はマー君を作った組織のパソコンに侵入したのだ。そう思わない方がおかしい。

コツコツコツコツ。足音が早くなる。

奴らJCOという組織は僕を捕まえたくて仕方がないだろう。だけど、捕まったら最後。僕が掴んだ情報は闇に葬むられる。

それこそ終わりだ。

成幸は歯を食いしばり、必死に息を殺した。もうすぐ手前まで来ていた。気配を感じる。こいつマー君信者じゃあない。

恐らくJCOの者だ。

マー君信者だけでなく組織の連中まで追ってくるとは、よほど焦っているのか?

そんなことを考えている内にいつの間にか気配は消えていた。どうやら誰もいないと思ったのだろう。

ゴミバケツから恐る恐る顔を上げると、ダークスーツの男が路地を出ていくのが見えた。

助かった。

心の奥からそう思った。