マー君(原作)

バッハ>すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、私だけは、私だけは、許してください。

本当に、すみませんでした。


「こいつ、一人だけ助かろうと……」
 
良一はEnterキーから指を離した。

それと同時に、マー君の文字が現れた。

それは予想外のものだった。

 
マー君> うん、いいよ。

バッハ> 本当ですか?
 
これには、良一も驚いた。

マー君が許してくれた。

だとしたら、これは手の込んだいたずら?

が、それは思い込みだった。すぐにマー君の文字が現れた。

 
マー君> じゃあ、次、バッハね。

僕が遊んであげるよ。

どうしてほしい? 

バラバラにしてあげようか? それとも――。

 
その後、バッハの書き込みが止まった。

何が起きたのかとチャットルームを見ていると、バッハが退室しましたと表示された。

どうやらチャットルームを出れば、マー君から逃げられると考えたのだろう。

だが、迷信、噂が本当なら、そんな子供だましで逃げ切れるはずがない。