マー君(原作)

おかしいな。

ただの散歩だったはずなのに。

いつの間にか、どこかわからなくなっていた。

ただ水に浮かんでいるだけで、何もできない。

いや、しようとしない。

達也達の所に戻ることもしない。

きっと奴は今頃グループに俺がキラーだとか吹かしているんだろうな。

そうだとしても構わないが。

今更俺に何ができるというのだ。

もはや、歩くことすらままならないのに。

そんな俺にどうしろと?

時間というものは、過ぎるのが早いようだ。

よくこういう危機的な状況の場合、ゆっくりゆっくり過ぎていくものだが、ゲームという中ではそうではないようだ。

桐原は口の中に水が入るのを覚悟して、右手――腕時計を持っている手を顔の前に差し出した。

もはや桐原は天井に体を向けるようにして水面に浮かんでいた。

だいぶコツを掴んだようで、手をあまり動かさなくても浮かんでられるようになっていた。

時計はいつの間にかびしょびしょに濡れ、時針が止まっていた。

どうやら中に大量の水が入りこんだようだ。

時刻は九時三十八分で止まっていた。

それにしてもおかしい。

この時計。

まだ二十二分も時間があるのに、もう水位はこんなにも上がっている。