マー君(原作)

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いったい、どれだけ歩いただろう。

桐原は歩いてきた方向を振り返った。

もう達也の声は聞こえない。

いや、聞きたくないから聞こえないように自分でそう思い込んでいるだけかもしれない。

桐原は歩くのをやめ、手に握り締めていた腕時計を見た。

時刻は九時三十ニ分を指していた。

ゲーム終了――ゲームオーバーまであと二十八分というところか。

腕時計を握り締めると、顔を上げ天井を見上げた。

やはり天井の壁は見えない。

ただ闇がどこまでも広がっているだけだ。

今度は下を見る。

水位は肩まで経ってしていた。

もはや立っているのも辛い。

バランスが崩れたら水の闇の中に吸い込まれてしまいそうだ。

桐原は闇が広がる眼下をじっと見ていたが、その闇がどこまで続き、徐々に体にまとわりつき、水の底に引き込もうとするような気がした。

そのせいか、今まで平静を保っていた心が、次第に不安という負のオーラに呑まれていく気がした。

いったいいつから、自分はこんなにも弱く、情けなくなってしまったのだろうか。