マー君(原作)

「なら、書けばいいじゃない。洋太はこういうありえない世界が好きで、この仕事してるんでしょ? それに私からすれば今の洋太はただ逃げているだけにしか見えないよ。

それよりなら、そのインタビューした水月雨って子の方が、よっぽど強いよ。何があっても屈しない感じっていうか。

洋太も少しは見習ってみたら? その子を。時には疑うことより、信じることも大事よ。人を信じることによって見つかる『真実』もあるものよ」

何か嫌味ぽく聞こえたが、洋太は気にしなかった。

確かに桂子の言う通りだったから。

俺は逃げている。

認めたくないと。それはきっとマー君から逃げているのだと。

忘れようとしても忘れられないこと。それを、思い出してしまいそうで怖かった。

烏の写真から目の前にいる桂子を見る。

「だな。オカルトな記事なんてあってないようなものだし、俺がこの記事を書いたとしても何かが変わる訳じゃあない。

大切なのは結果じゃあなく、したことだな」

「なーに! やけに格好いいこと言うじゃあない。でもやっといつもの洋太に戻ったね」

「まあな」

洋太は手帳を閉じ、もう一度烏の写真を見上げた。

そうだ。俺はオカルト専門の記者だ。

例え記事を出した所で、この烏のように気違いと思われるだけで、何も変わらない。

それでも情報を公開することに変わりはない。

情報を隠し握り潰す奴よりは、はるかにマシだ。

大切なのは、情報の量ではなく、質なのだ。

一つの答えへ導くのに、多くは必要ない。

直感が大事なのだ。

それが正しいと、それが答えだと思う。