マー君(原作)

そうしてずっと暗い水の中を見ていると、Xが肩を掴んできた。

「さぁ、戻ろう。達也君が君を邪険扱いしているのは、わかるが、それは……私をかばったためだ。だから、君が離れる必要はない。

どうしてもというなら、私が代わりにグループから離れる」

そこまで言われ、桐原はようやく顔を上げた。

目の前に当然のようにXの顔があったが、その顔は悲しみに満ちていた。

目の端に皺が寄り、白髪がその表情を一層際立てていた。

これが中年から高年に変わる前兆なのだろうか。

桐原は微かに首を横に振った。

「別にグループから離れるわけじゃあないですよ。ただ、少し一人になりたくて……そんな遠くには行きませんよ。声が聞こえる範囲までですから」

しかし、Xの表情は変わらなかった。

桐原を信用していないようだったが、しばらくしてようやく肩から手を離した。

そして微かに頷くと、達也達の方へ戻っていった。

おそらく、これ以上何を言っても無駄と判断したのだろう。

それが正解だ。

桐原もXの寂しそうな背中を見送ってからグループから離れていった。

漆黒の闇が広がる空間へと。