マー君(原作)

グループから結構離れていたため、追いつかれることはないだろうと鷹をくぐっていたが、その直後名前を呼ばれた。

そこで、桐原は始めて後を振り返った。

「桐原君、待ちたまえ!」

声の主はXだった。彼はグループから抜け出し、後を追ってきていた。

その際まだ話し合っているグループが見えた。

皆不審な目をこちらに向けていた。

おそらく達也が俺のことを悪く言ったのだろう。

それを心配してXは来たということか。

「桐原君、何故一人で行動しようとする?」

Xが服をずぶ濡れにして、駆け寄ってきて、桐原の目の前で止まった。

もはや歩くことすら難儀となっている。

それほど水位は上がっていた。

どうやら水位が上がるスピードが速まっているようだ。

桐原は次第に胸に上がってきた水位を見下ろしながら、漆黒の闇に吸い込まれるような水底を見た。

Xから見れば、ただ俯いているようにしか見えないだろう。