マー君(原作)

こうしてみると、まるで仲間はずれにされたような光景だった。

それでも、桐原は達也の話など聞きたくもなかった。

あんな偽善者の話など、ないに等しい。

始めは頼りになる人だと思っていたが、それは俺の偏見で、達也は自分のことしか考えていない、嘘つきやろうだ。

善人ぶって周りを油断させ、その間に周りをまとめていく、そういうタイプだ。

俺はそういうタイプの人間が嫌いだ。そういう人間は信頼性に欠け、すぐ裏切る。

「ふぅ、くだらね」

桐原は達也の声から逃げ出すように彼らから離れて暗闇の方へと歩き出した。

それは達也を拒否する行為でもあったが、構わなかった。

今は、一人でいた。

グループから少し離れても、声が聞こえる範囲なら戻ってこれる。

そう思って数歩歩き出した。

と、しばらく進むと、後方から誰かが近づいてくる気配を感じた。

だが、桐原は振り返らなかった。

もう水位は腰を超え、腹部まで達していた。