マー君(原作)

そこで、桐原は少し間を置いてから、スキンヘッドの男に名乗った。

「俺は桐原です。そちらは?」

「ああ、俺は達也、んで」

スキンへッドの男は隣に立つ女を顎で指した。彼女はまだ桐原をじっと睨んでいる。

かなり化粧をしているようで、香水の強いにおいが鼻をつく。

「清美だ。まあ、お互い大変な目にあったな」

そう言って達也は手を差し出してきた。

桐原は一瞬警戒したが、彼の穏やかな様子から素直に達也の手を取り、握手を交わした。

「ええ、早くこんな所から出たいですよ。気味悪いですし」

達也と清美は二十代半ばで、桐原より年上に見えた。

そのせいか、桐原は少なからず彼らと距離を置いた。

手を離すと、桐原に遅れ、XとKPSも駆けつけた。

二人は始め、達也達に警戒していたようだが、桐原が心配ないと説明すると、すぐにお互い自己紹介をして、色々と情報を交換した。

話によると、達也は自宅で清美とたわいのない話をしていたようだ。

そして、携帯電話をいじっていた清美が面白い物を見つけたと、達也に携帯電話を向け、その後は――。