マー君（原作）

＜１３＞

「ふざけんなっ！　なんで俺に当たるんだ！　ええ？」

「うっさい！　こんな所に来たのも、あんたのせいよ！」

桐原が言い争っている所に着くと、互いを睨み合っていた若い男女がこっちを向いた。


その表情はとても歓迎されているものではなかった。

それでも桐原の存在に気づくと、男女は言い争うのをやめ、金の長髪の女が苛々しながら、聞いてきた。

「あんた、誰よ？　あんたがあたしをここに連れてきたの？　ええ？」

「おい、やめろ、清美」

スキンヘッドをしたがたいのいい男が、桐原に飛びかかろうとする女を止めた。

どうやら女は清美という名前のようだ。

桐原は清美から少し距離を置きながら、冷静そうにこっちを見ている男に尋ねた。

「あのー、あなたも、そのー」

「ああ、ゲーム参加者……ってことだな。君も？」

「ええ、俺は……」

桐原は名乗ろうかと迷ったが、今更隠す必要もない。それにさっきＸと話していたこともある。

情報を手に入れるなら、こちらが情報を隠したままでは何も始まらない。