マー君(原作)

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このゲームが始まってからどれぐらい経っただろう。

水位はもうすぐ太ももに達しようとしていた。

まだ桐原はKPSとついさっき会ったXと、二人にしか会っていないのに、まだ何もできていない。

情報収集も、何も。

そのせいもあり、桐原は焦っていた。

「それで、Xさんはこのゲームに参加したと?」

Xは桐原の隣を歩きながら、何でも質問に答えてくれた。

KPSはまだ桐原の後ろをついて歩いていた。

自己紹介をしてから全く話していない。何故かはあまり気に留めなかった。

というより今は別のことに意識が集中していた。

桐原はとにかく見えない時間に焦りを感じ、Xに質問攻めせずにはいられなかった。

「Xさんは、何の仕事をしているんです?」

「まあ、ほどほどですよ。桐原さんこそ、何をしてる方なんですか? 大学生に見えますが」

「え、まあ、ほどほどですよ」

そんな感じで会話が成り立っていった。

お互い肝心な情報は漏らさず、さりげなく相手の情報を得ようとする。

そして、質問に答えなくても、深く追求しない。

まるで暗黙の了解のように。