<12>
このゲームが始まってからどれぐらい経っただろう。
水位はもうすぐ太ももに達しようとしていた。
まだ桐原はKPSとついさっき会ったXと、二人にしか会っていないのに、まだ何もできていない。
情報収集も、何も。
そのせいもあり、桐原は焦っていた。
「それで、Xさんはこのゲームに参加したと?」
Xは桐原の隣を歩きながら、何でも質問に答えてくれた。
KPSはまだ桐原の後ろをついて歩いていた。
自己紹介をしてから全く話していない。何故かはあまり気に留めなかった。
というより今は別のことに意識が集中していた。
桐原はとにかく見えない時間に焦りを感じ、Xに質問攻めせずにはいられなかった。
「Xさんは、何の仕事をしているんです?」
「まあ、ほどほどですよ。桐原さんこそ、何をしてる方なんですか? 大学生に見えますが」
「え、まあ、ほどほどですよ」
そんな感じで会話が成り立っていった。
お互い肝心な情報は漏らさず、さりげなく相手の情報を得ようとする。
そして、質問に答えなくても、深く追求しない。
まるで暗黙の了解のように。
このゲームが始まってからどれぐらい経っただろう。
水位はもうすぐ太ももに達しようとしていた。
まだ桐原はKPSとついさっき会ったXと、二人にしか会っていないのに、まだ何もできていない。
情報収集も、何も。
そのせいもあり、桐原は焦っていた。
「それで、Xさんはこのゲームに参加したと?」
Xは桐原の隣を歩きながら、何でも質問に答えてくれた。
KPSはまだ桐原の後ろをついて歩いていた。
自己紹介をしてから全く話していない。何故かはあまり気に留めなかった。
というより今は別のことに意識が集中していた。
桐原はとにかく見えない時間に焦りを感じ、Xに質問攻めせずにはいられなかった。
「Xさんは、何の仕事をしているんです?」
「まあ、ほどほどですよ。桐原さんこそ、何をしてる方なんですか? 大学生に見えますが」
「え、まあ、ほどほどですよ」
そんな感じで会話が成り立っていった。
お互い肝心な情報は漏らさず、さりげなく相手の情報を得ようとする。
そして、質問に答えなくても、深く追求しない。
まるで暗黙の了解のように。


