マー君(原作)

それとも人見知りが激しいのか?

Xはまだ顎を触っていた。

癖のようだ。

この男はどうやら俺達の情報を欲しいようだ。

さりげなくだが、名前を聞き出そうとしている。

だが、まあここで名乗らない理由もない。相手も名乗ったわけだし。

桐原は咳払いをして、Xの会話を中断させ、名乗った。

「俺は桐原。後にいるのがKPS」

ちらとまだ後にいるKPSを顎で指した。

すると、Xの表情が急に変わった。

それに何の意味があるのかわからなかったが。

やはりこのゲーム情報収集が命なのだろう。

桐原は何故か背中に冷や汗をかいていた。

これで、名乗ったことにより、この男にこれ以上自分の情報を教える必要はなくなった。

後はじわじわとこいつから色々と情報を得るだけだ。

桐原が名乗ると、KPSが彼の背中から離れてXに頭を下げた。

だが、まだXを警戒しているようで、またすぐに桐原の背中に隠れた。

どうやらKPSはこのXという男が嫌いだようだ。

XもKPSに軽く会釈した。

それから、疑問に思っていたのだろうか、桐原に尋ねた。

「ところで、あなたの名前は本名かな?」