<11>
桐原は始めその黒い影は壁だと思った。
が、次の瞬間黒い影が前へ、こっちに向かってきた。
桐原は咄嗟に後退しようと足を動かしたが、その前に黒い影から声を掛けられた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 何もしないから」
その声はやけに穏やかで優しかった。
それにその太めの声は聞き覚えがあった。
あの、ゲームが始まる前に皆に呼び掛けた声だった。
それらの要素に桐原の足は鈍くなり、いつの間にか逃げることを忘れていた。
「あんた、は?」
恐る恐る黒い影に尋ねる。
KPSは桐原の背中に隠れ、黒い影を警戒している。
尋ねられると、黒い影は咳払いをして前に、こっちに進み出る。
すると、闇の中から中年の白髪の男が現れた。
彼は穏やかな顔をしており、紳士的だった。
黒いスーツを着こなしており、どこか威厳を感じさせる。
しかし、白い髭で顎が見えない顔には満面の笑みが広がっていた。
彼は桐原とKPSをじっと見てから、桐原に手を差し出した。握手ということだろう。
だが、桐原はその手を握らず、再度同じ質問を繰り返した。
「あんた、は?」
桐原は始めその黒い影は壁だと思った。
が、次の瞬間黒い影が前へ、こっちに向かってきた。
桐原は咄嗟に後退しようと足を動かしたが、その前に黒い影から声を掛けられた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 何もしないから」
その声はやけに穏やかで優しかった。
それにその太めの声は聞き覚えがあった。
あの、ゲームが始まる前に皆に呼び掛けた声だった。
それらの要素に桐原の足は鈍くなり、いつの間にか逃げることを忘れていた。
「あんた、は?」
恐る恐る黒い影に尋ねる。
KPSは桐原の背中に隠れ、黒い影を警戒している。
尋ねられると、黒い影は咳払いをして前に、こっちに進み出る。
すると、闇の中から中年の白髪の男が現れた。
彼は穏やかな顔をしており、紳士的だった。
黒いスーツを着こなしており、どこか威厳を感じさせる。
しかし、白い髭で顎が見えない顔には満面の笑みが広がっていた。
彼は桐原とKPSをじっと見てから、桐原に手を差し出した。握手ということだろう。
だが、桐原はその手を握らず、再度同じ質問を繰り返した。
「あんた、は?」


