マー君(原作)

確かにかれこれ数十分、歩きっぱなしだ。

ここで一度休むべきかもしれない。

この周りが全く見えない空間では、いつ、何が起きてもおかしくない。

その時へばっていたら、何もできない。

「疲れたのか?」

見ればわかるでしょ? 

みたいにKPSに睨まれたが、桐原は構わず彼女の隣に腰を下ろした。

こうして見ると、二人カップルに見えた。

桐原とKPSは歳もさほど離れていないため、並んで座るとそう見えるのは当然だろう。

ただ、桐原はこの女に心を許した訳ではないが。

「はぁ、全く意味がわかんねー。いくら歩いても壁に当たんないしよ。全く人に会わないしよ。どうなってんだよ、ここは。

水もだいぶ入ってきてるしな。しかもどこかもわからないし」

今まで歩くことに夢中で浸水のことを考えていなかったが、今ではもう踝まで水が使っていた。

このゲームには時間制限、浸水、キラーの存在とプレイヤーの体力、精神を削る要素が多数ある。

そんな中で鍵を見つけここから脱出しなければならないのだから、嫌でも緊迫感が場を覆う。

桐原は疲れた足でしゃがみながら、周囲を見回した。

だが、相変わらず、暗く何も見えない。