マー君(原作)

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「暗いなぁ……そう言えば、ここは部屋だって言ってたよな?」

まだ桐原達はひたすら前に向かって歩いていた。

いくら歩いたかはわからないが、歩数で言えば三百歩近く歩いたかもしれない。

しかし、どういうわけか一向に壁にぶつかることがなかった。

そのせいか、二人とも少しずつ不安になってきていた。

「た、確か審判が言ってたわ。『この部屋』って」

KPSは歩き疲れたのか、歩くスピードが落ちていた。

桐原も自然と彼女のスピードに合わせて歩いていた。

「ああ、俺の考えだと、ここは四方、もしくは円状か三角系の形をしていると思うけど……ひょっとしたら八方系、いやそれ以上かもしれない。

ただ、周りを壁で囲まれているのは確かだ」

そう言いながらも、桐原はさっきから募る不安を押しつぶされそうだった。

もし、この部屋が恐ろしく広く、歩いても到底壁に辿りつけないような構造なら、時間を浪費するだけで、何もならない。

今こうしていることがそうだ。

もしそうなら……。

ふと、KPSが立ち止まった。

何かと桐原も立ち止まる。

どうやらKPSは体力の限界がきたようだ。

その場にしゃがみこんで動かなくなった。