もし、これが噂でなく、本当の話だったら?
そんなマイナス思考が働いたが、結局友達を止めることができず、そのまま友達は招き手のすぐ手前まで近づいた。
そして持っていた棒を招き手に押し付けてみた。
始め、招き手に変化はなかったが、友達が何度も棒でつつくと、急に棒を勢いよく掴んだ。
ガツッ!
良一は思わず、身構えた。
その瞬間、引っ張られた友達は、前かがみになり、招き手が更に棒を引っ張った。
そのため、友達は更に小屋に引き寄せられ、次の瞬間招き手が友達を掴んでそのまま小屋の中へ引きずりこんだのだ。
良一は信じられなかった。
目の前で起きた光景が――。
「い、やああああああ!」
友達の叫び声が小屋から聞こえたが、誰も動けなかった。
良一は友達が泣きながらこっちに手を伸ばしているのを、ただ見ていた。
何もせず、友達が暗闇の中に消えていくのを。
そう、見捨てたのだ。
友達を。
恐怖から逃げる代償として。
親友を。
そして、いつしかその声は消え、忙しなくなく蝉の声に掻き消された。
友達が消えた後、良一はもう一人の友達と、ただ立ち尽くしていた。
たった今起きたことに、何もできずに。
最悪な一日だった。そして、親友を失った忘れられない一日となった。
だから、この時から良一は迷信を馬鹿にすることを止めた。
それは、その迷信とは、どこからどこまでが嘘で、本当なのか判断できないからであり、もしそれが本当なら、どうすることもできないからだ。
そんなマイナス思考が働いたが、結局友達を止めることができず、そのまま友達は招き手のすぐ手前まで近づいた。
そして持っていた棒を招き手に押し付けてみた。
始め、招き手に変化はなかったが、友達が何度も棒でつつくと、急に棒を勢いよく掴んだ。
ガツッ!
良一は思わず、身構えた。
その瞬間、引っ張られた友達は、前かがみになり、招き手が更に棒を引っ張った。
そのため、友達は更に小屋に引き寄せられ、次の瞬間招き手が友達を掴んでそのまま小屋の中へ引きずりこんだのだ。
良一は信じられなかった。
目の前で起きた光景が――。
「い、やああああああ!」
友達の叫び声が小屋から聞こえたが、誰も動けなかった。
良一は友達が泣きながらこっちに手を伸ばしているのを、ただ見ていた。
何もせず、友達が暗闇の中に消えていくのを。
そう、見捨てたのだ。
友達を。
恐怖から逃げる代償として。
親友を。
そして、いつしかその声は消え、忙しなくなく蝉の声に掻き消された。
友達が消えた後、良一はもう一人の友達と、ただ立ち尽くしていた。
たった今起きたことに、何もできずに。
最悪な一日だった。そして、親友を失った忘れられない一日となった。
だから、この時から良一は迷信を馬鹿にすることを止めた。
それは、その迷信とは、どこからどこまでが嘘で、本当なのか判断できないからであり、もしそれが本当なら、どうすることもできないからだ。


