マー君(原作)

「この女性の話によると、マー君ウィルスという未知なるウィルスはネットを通じて人に感染する。そしてこれはサイバーテロだと。

確かにありえない話だ。

だが、全てを否定するのもどうかと思う。現に今あちこちでマー君により死者が出ているのだから」

そこまで言うと、三沢は後ろの壁に背中を押し付け、腕を組んだ。

「もしもだが、これが本当の話だとしたら? どこかでテロリストがマー君という未知なるウィルスを作ったとしたら?」

「世界は崩壊しますね」

洋太は軽く適当に言ったつもりだったが、三沢は深く考え込んだ。

「……知っていると思うが、人間は聴覚や視覚からの外的接触により身体に異常をきたす場合がある。

例えば超音波などがそうだ。

こいつで死ぬ者だっている。更に言うなら、地球を覆う磁力の影響でもな。だとしたら……。

視覚からの外的接触により人間が死に至るという話もありえなくはないはずだ。視覚は聴覚以上に人の心身に影響を与える。

例えば突然眩しい光りを浴び、一定時間動けなくなるようにだ。目は大量の情報を脳へ送る役割をしている。

もし、その情報に『害する情報』が入っていたとしたら? その情報が脳に何かしらの影響を与え、人体に何かしらの作用を引き起こす可能性だってある」