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洋太は長い廊下を、三十代後半の不精髭を生やした男と肩を並べて歩いていた。
一直線に延びる廊下に朝の日差しが差し込んでいる。
廊下の右手には小さな窓が一定の間隔を開けて並んでいるからだ。
しかし見える景色は高い。
この男――三沢教授は毎回記事を出す時、取材している仲だ。
こいつとは記者を始めた時からの仲だ。
三沢は長い黒髪をオールバックにして後ろで一つに束ねている。
背が高く、着ているダークスーツがよく似合っている。
どちらかというと紳士的よりワイルドな男だ。
そのせいか話し方も荒っぽい。
それは洋太の耳が悪いのかもしれないが。
「で、今回のオカルトはなんだね? 前回の宇宙人の話か? それともまた幽霊か?」
「まあ、今回はですね--」
三沢が視野の広い人で助かった。
これから話すことは恐らく宇宙人でも幽霊でもないかもしれない。
マー君が幽霊とはっきりしていれば、こんなに頭を悩ませることなどないのに。
それもこれも雨の不可解な話のせいだ。
まあ記者が話を聞きに行ってその本人に当たるのもしゃくな話だが。
洋太は長い廊下を、三十代後半の不精髭を生やした男と肩を並べて歩いていた。
一直線に延びる廊下に朝の日差しが差し込んでいる。
廊下の右手には小さな窓が一定の間隔を開けて並んでいるからだ。
しかし見える景色は高い。
この男――三沢教授は毎回記事を出す時、取材している仲だ。
こいつとは記者を始めた時からの仲だ。
三沢は長い黒髪をオールバックにして後ろで一つに束ねている。
背が高く、着ているダークスーツがよく似合っている。
どちらかというと紳士的よりワイルドな男だ。
そのせいか話し方も荒っぽい。
それは洋太の耳が悪いのかもしれないが。
「で、今回のオカルトはなんだね? 前回の宇宙人の話か? それともまた幽霊か?」
「まあ、今回はですね--」
三沢が視野の広い人で助かった。
これから話すことは恐らく宇宙人でも幽霊でもないかもしれない。
マー君が幽霊とはっきりしていれば、こんなに頭を悩ませることなどないのに。
それもこれも雨の不可解な話のせいだ。
まあ記者が話を聞きに行ってその本人に当たるのもしゃくな話だが。


