マー君(原作)

桐原はちらとこっちを下から可笑しそうに覗いている少女を見た。

どうやらこのゲームは自分の情報を隠しつつ、より相手の情報を得ることにより、その情報を元に「鍵」を見つけ、脱出するのだろう。

そのためには、自分の情報を漏らすことは命を危険に晒すことであるのだ。

プレイヤーの中には「キラー」という裏切り者がいる。

そいつはおそらくこの闇に生じて情報を操る可能性がある。

その時自分の情報を知られると厄介だ。

何をされるか、わからない。

「ねぇ、聞ーてます?」

「あ、ああ」

桐原はKPSの顔に焦点を当て、頷いた。

彼女は何を企んでいるのか、屈託のない笑みを浮かべている。

今は何もされてないが、もしかしらこの女がキラーである可能性もあるのだ。

なるべく自分の情報は漏らさないように注意しなければならない。

それこそこのゲームの思う壷だが。

「あれだろ、俺が何でこのゲームに参加したか」

「ええ、そうだけど。言いたくない?」

KPSは少し怪訝な顔をして、聞いてきた。

その声には見えない圧力を感じた。

ここで、参加の理由を言えば、それはまたこの馬鹿女に情報を教えることになる。