マー君(原作)

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このゲームは謎だらけだ。

こんな暗闇の中での鍵探し。

探すことができなければ……死ぬ。

桐原はKPSと並んで歩いていた。

どこに向かって歩いているかはわからなかった。

ただ歩いていた。

暗闇の中をひたすら前へ。

しかし、いくら歩いても障害物に当たらなかった。

「ねぇ、桐原君はどうしてこのゲームに参加したの?」

KPSはすっかり桐原に慣れたようで、友達のように話していた。

しかし、桐原は違った。

この女はまだ俺に何も教えてはいない。

本名すら……。

それなのに、俺は馬鹿みたいに名乗ってしまった。

それがこのKPSとかいう女と隔たりを作り、警戒心が怒りへとシンクロして消えなかった。

まるで自分だけがこの闇の中でまぶしく光っているようで、居心地が悪かった。

どんな些細な情報も漏らさない。

それが勝者への道であるから。

これがこのゲームの特徴なのだとわかっていても。

疑心と闇により人との隔たりを作り、人を信じられなくさせることが。