マー君(原作)

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「これからあなた達にしてもらうゲームは--命懸けの鍵探しです!」

拡張マイクから発せられたその言葉は、長い間空間に漂っていたように反響した。

突然のゲーム説明に、皆戸惑っているようで、一気に場がざわめいた。

「ゲームはいたって簡単。この部屋にある鍵を見つけ、その鍵でこの部屋から脱出すること。制限時間は2時間。その間にこの部屋を水が満たしていきます」

太い声は機械的にゲームルールを説明していく。

その間誰も話さない。

桐原は改めて目覚めてからずっと反響する水滴の音に耳を傾けた。

この審判の言うことが正しいのなら、この水の音はどこかからこの部屋に水が入りこんでいることになる。

「なお、このゲームは生命の危険を伴うことがありますが、ゲーム参加者はこの部屋にきた時点でそれを了承したものとします」

この報告には、皆戸惑ったようで、遠くからだが、あちこちで怒声があがった。

やはり声からしてかなり人がいるようだ。

桐原は周囲の警戒を怠らず、審判の説明に神経を集中させた。