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「おーい! 声が聞こえているなら、返事をしてくれ」

突然静寂を裂くように太い大声が響いた。

桐原ははっとして顔を上げ、声の主を探した。

しかし距離がありすぎて場所は特定できない。

だいぶ暗闇に目は慣れたが、やはり完全に光を遮断されているため、かなり近くないと何もわからない。

声が暗闇に反響し消えると、また声の主が声を上げた。

「皆聞こえてるんだろ? なら、いったん私の所に集まらないか? これじゃあ何人いるかも、何もわからないだろう」

その声がまた反響し、消えると、暗闇の中であちこちからほんの微かだが囁き声のようなものが聞こえてきた。

桐原は、その小さな声を注意深く聞き、自分の近くに誰かいるか感じとった。

確かに――今この空間に何人いるかも、何もわかっていない。

だとすれば、この声の主の言う通り、一旦一カ所に集まるべきか? 

ま直で見れば、皆の顔を見ることもできるだろう。

だが――。