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桐原鏡、男性、二十歳、職業大学生、性格普通、履歴書にはいつもそう書いていそうな青年、桐原鏡がこのゲームに参加するに至った経緯は実に単純なものだった。

探したいから……。

いわば、自分探しのようなものだった。

その興味とも言えるようなものが、この「鍵探し」というゲームに彼を駆り立てた。

事の始まりは、携帯電話だった。

毎日のように退屈していた彼がある日見つけた携帯サイト「鍵公開場」。

このサイトはあらゆるサイトの鍵が集まっており、鍵探師という探求者が鍵を探し、このサイトに集めている。

普通は鍵師と呼ぶが。

鍵探しとは、非公式サイトにおける各コンテンツに入室するパス=鍵を探すというもので、鍵を入手しなければそのサイトを利用することができないというものだ。

そして各非公式サイトは、各コンテンツの鍵を探させる環境を作り、利用者はそこから入室鍵を探すという仕組みだ。