鍵探し編
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ピチャ、ピチャ……。

「ぅ、ううん……」

鋭く耳を刺すような音が頭に響く――。

どうやらどこからか水が漏れているようだ。それに水滴が垂れ落ちる音に混じって複数の唸り声が聞こえる。

その声の様子から、二人、三人ではないようだ。

もっと大勢だろう。

「お、れは、いったい」

そう呟きながら、桐原鏡は上半身を起こした。

どうやら、俺は気を失っていたようだ。

しかし、こんな何も見えない暗闇の空間に来た覚えはない――というよりその記憶はない。

桐原の周りは漆黒の闇で覆われ、何も見えない。

それでもじっと耳を澄まし、神経を尖らせていると、どうやらここが広い空間によって構成されていることだけはわかった。

その証拠にさっきから耳に響く水滴の落ちる音が反響して聞こえている。

桐原は、目を凝らしながら、ゆっくりと周りを見回した。

目はまだ暗闇に慣れていなかったが、しばらく目を凝らしていると少しだが、おぼろげに周りの様子が見えてきた。