「そのウィルスとは、ネットを通じて人に感染するもので、感染したら恐らく何か特殊な力を手に入れるのかもしれません。

そして仮にウィルスの宿主がいたとして、それがマー君だとし、彼にマインドコントロールされるか、もしくは発狂するのかもしれません。

雫も頭の中に何かがいると日記に書いていたから、きっと何かが雫の頭の中にいて雫を操って――。

きっとマー君に接触したから、頭の中にいる何かが動き出して、雫を操って……だからあんな恐ろしいことを」

マインドコントロール。

洋太は顔をしかめた。

何を言いたいか、わからない。

まるでめちゃくちゃだ。

ただの妄想に過ぎない。

自分の考えを整理できていないのだろう。

感情だけが先に出ている。

「そのウィルスは、いえマー君ウィルスはネットを通じて人に感染するならば、かなりの人が感染している可能性があります。

そして、きっと感染者はマー君信者と言われ、マー君を崇める者となり、マー君の手足となる存在かもしれません」

マー君信者。

人に感染するネットウィルス。

目が霞んできた。

「だから、雫は殺されない。マー君に関わった者は皆死んだり、行方不明になっているのに、雫は生きている。

それは妹がマー君信者--感染者だからよ。

それに、もしこの考えが正しいなら、あのチェーンメール事件に複数のマー君信者が関わっている可能性があると思います。

いくら妹が何か超人的な力を手に入れたとしても短い間で何十人も殺せると思えない」