「マー君の新情報なんて……ありすぎて手に負えないぐらいですよ。

今更マー君のことを記事にしてもあまり反応よくないですよ。他の所もマー君の記事を出しているんですから」

それだけ言うと、また携帯をいじりだした。

三上は腹をかきながら、肥満しすぎた牛のように唸る。

「うーん、だな。だったら、他社が出してないマー君のネタでいくか?」

「だから、それがあれば苦労しませんよ。どれも似たりよったりじゃあないですか?」

また携帯をいじっている男が口を挟む。

その男はワックスで固めた長い髪をいじりながら、もう片方の手で携帯のボタンを華麗に操作している。

着ている青いパーカーと青いジーンズがよく似合っている。

さわやか系で、こんがりやけた顔がにやにやしている。

「まぁマー君の正体でもわかれば、話は別ですけど」

ぶつぶつ話すその男を、三上はしばらく見つめていた。

他の三人の社員は話にすら参加していないため、そうするしかないのだが。

「ええい、もう」

三上は天然パーマが掛かった頭を掻き、苛々しながら言った。

「誰もマー君の正体はわからないのか?」