マー君(原作)

AI> マジ? いい迷惑だな。

 
こいつ。良一はAIに再度注意しようと思ったが、もはや思考がバッハの話を早く聞きたくて、それをさせなかった。

 
バッハ> んで、メールを開くと、マー君からのメッセージが入っていて、写真が付いてくるんです。

内容と、写真は知りませんが。それを見た直後、またメールが来るんです。

それにもマー君のメッセージと写真が入っているんです。

そして、その後マー君に殺される。

逃げる術はない。

彼はネットさえあれば、どこにだって現れる。

例えば、今いる自分の部屋にも。

 
一瞬、チャットに静寂が流れた気がした。

良一もすっかりバッハの話に引込まれていて、手に汗をかいていた。

これほど緊迫した空気を味わうのは久しぶりだ。

鼓動が激しく高鳴り、気が高ぶる。

良一はこの雰囲気がどこか好きだった。

急に始まったマー君というネット伝説。

そして今自分はその伝説に足を踏み出そうとしている。

しかし――。

伝説だからこそ、気をつけなければならない。軽はずみな行動が後に惨劇を招くかもしれない。

それほど、伝説とは恐ろしい。