マー君(原作)

<3>

アツシ> マー君?

AI> 俺も知らねぇ、そんな話しあったっけ?

広美> でも、聞いたことあるかも。

 
志保が知っている?

良一は少し驚いた。

このパソコンオタクの俺ですら聞いたことがない話を、志保が知っているとは……。

もしや。

はっとある考えが浮かんだ。

「志保もパソコンオタクなのか、俺以上に」

そんな馬鹿な考えを自分に納得させていると、バッハがマー君について話し出した。
 

バッハ> マー君ってね、最近はやりだしたネット伝説ってあるじゃん。

ネットをやってると、急に不可解な出来事が起きて、そのままネットの世界に連れて行かれるって話。

その中心人物なんだけど、その伝説の一つにこうしてチャットやってると、現れるんだって。彼がね。

暗証番号もわからないのに、無理矢理入ってこれて。

AI> はん? それが恐い話? つまんねぇな。

 
良一はたまらず、打ち込んだ。

 
アツシ> AI、口に気を付けろ。今バッハさんが話してんだぞ。

AI> はいはい。


「こいつ……」

良一はAIの文字を目が飛び出すほど強く睨んだ。

なんでこんな奴までここにいるんだ?

ったく、最悪だ! 俺は――。

と、広美の文字が現れた。

 
広美> 二人とも止めて、喧嘩しないで。