この怪力には嫌な思い出がある。

中学のとき、一番知られたくなかったひとにバレてしまった。


噂が広まらなかったのが幸い。

…いや、こんな馬鹿力の怪力人間がいるだなんて話、信じてもらえなかったのかもしれない。



(とにかく、高校では絶対秘密にしなきゃ)


そう何度も強く強く決意するわたし、内森 唯だった。




絶対知られてはいけない。

傷つかないために。
自分を守るために--。


(とにかく、この空き缶を捨てよう)


わたし空き缶を握ったまま考え事をしていたことに気づき、急に恥ずかしくなった。