どくんどくんどくん


(なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ!!)


俺はひたすら走った。そのせいもあって余計鼓動は速くなる。


どくんどくんどくん

(なんだこれ、…じゃない)


「はあっ…はあ…」


立ち止まる。息が切れて膝に手を置く。

鼓動は、止まない。


どくんどくんどくん


思い浮かぶ、彼女の顔。

「…こんなの、初めてだ。」

俺は校舎の壁にもたれかかって、空を仰いだ。



これは、恋だ。



「一目惚れ…、するなんて。」


俺は譫言のように呟いた。

それは青い空に吸い込まれて消えた。




坂下謙太、15歳。
初めての一目惚れです。