「次から覗きなんてしちゃだめだよ?」
「ちがっ!これは不可抗力で!」
俺が慌てれば慌てるほど、彼女はにやにや笑う。
こいつ…、楽しんでやがる!
「かと言って利用しちゃったのはあたしも悪いけど。あ、でも謝らないよ?おあいこだもん」
そう言ってにっこり悩殺スマイルを浮かべる彼女に、俺はため息をついた。
「なんでもいーよ、なんか疲れたし」
うん疲れた。
でもそんな俺に構わずに、彼女は俺の手をひっつかんだ。
「な、なに?」
可愛い女の子に手を掴まれた俺は、驚いたのとドキッとしたのとで声が上擦った。
「次、自習なんだって。」
「へ?だから…?」
「なんかだるくなっちゃったし、サボろっか!」
アナタ、さっきチャラ男先輩に「授業あるから」とか言ってましたよね?
口にしても藤谷さんには勝てない気がするから、俺は心の中でツッコんだ。
「決まり!」
そう言って笑う藤谷さんに、俺は引っ張られるがままだった。
