まあ確かに藤谷さんは可愛いけど、俺はおとなしめの顔のほうが好きだ。
まさに内森さん。
内森さんこそ俺の理想。
と、考えたところで一気に現実に引き戻された。
「ごめんなさい」
おお…。
チャラい先輩をばっさりと。
ていうかなんでこんな場面に居合わせてんだ俺!
そっと覗いていた顔をひっこめて、壁に背中をくっつけて息を潜める俺。
これじゃあ悪いことしてるわけじゃないのに、悪いことしてるみたいじゃんか!
(くそ、俺も夕上のトイレについてけばよかった!)
音をたてるのが怖くて動けない俺。
しかも廊下なのに何故か誰も通らない。
最悪だ。
っつーかこんなとこで告白なんかしてんなよなチャラ男先輩!
そんな俺にかまわず、続く会話。
「えー、なんでー?んなカタいことゆーなよ」
なかなかしつこいなこいつ、とか思っていると。
「あたし、しつこい男は嫌いなんです」
藤谷さん、ばっさりだ!
このひと強ぇぇ!
「いいねー!俺強気ってタイプなんだよね」
そんでこの先輩も、打たれ強ぇぇ!
ってか、ほんとにしつこいな!
なんて俺が呑気に心の中で叫んでいると。
