「じゃあ、昼休みにでも行こうかな」
俺が言うと、夕上が笑った。にたあって。
だから怖いって。
「僕、トイレいってきます」
「じゃあ俺先に戻るわ」
夕上は相当ガマンしていたのに付き合ってくれていたらしい。
めっちゃ走ってった。
あの夕上が。
俺はそれがおかしくて一人笑った。
「ねぇ、いいでしょ?俺と付き合おうよー」
そのとき、声がした。
そっと見てみると、先輩らしき男と、めちゃくちゃ可愛いこがいた。
ていうか、
(藤谷さんだ)
遠足の班決めのとき教室で騒がれていた例の美少女。
周りに馴染まないほど可愛い女の子がいるとは思っていたけれど、俺の中でその子と『藤谷鈴音』が一致したのはそのときだった。
自分ではそんなことはないと思うが、俺はいろいろと『疎い』らしい。
