ふむ、しかし。ふむ。


「攻略本…。策略…。」

「なにブツブツいってんの」



しばらく間を置いてから、俺は言った。


「いや、わかったんだよ勇輝、夕上!」

「なにが?」

「俺には戦略が足りなかったんだ!」


勇輝は呆れ、夕上はきょっとーんとしている。

でも俺は構わずに続ける。


「俺、内森さんのことずっと見てるだけだった」

何もせず、ばれないように。


「でもそれじゃ駄目だ!せっかく遠足の班も同じになれたんだ。俺は内森さんと仲良くなりたい!」


勇輝が口角を上げて笑った。

この男、イケメンにつきハンパない色気。


「…へぇ。いーんじゃない。で、どんな戦略?」

「え、う…。『まずは会話する』の作戦?」


俺が目を泳がせると、勇輝はため息をついた。


「さすが謙太。考え無し。俺手伝う?」


上から目線がくやしくて、俺はつい


「うるせー!今から夕上クンと考えるんだよ!」

夕上の肩を無理やり組み、戸惑う夕上の横で勇輝に啖呵を切った。


「俺はお前に頼らなくてもできる!見とけよ!」

勇輝はにこにこ顔で楽しそうに

「ああ」

と頷いた。


くそ、イケメンだ!