わたしはちらりと鈴音ちゃんを見た。


(やっぱり鈴音ちゃんはすごいなぁ)


あんな、みんなの中心で笑ってる人気者の坂下くんまで、鈴音ちゃんは惹きつけちゃうんだな。



…わたしは、


(わたしが、もっと積極的だったら…)


わたしには、できないよ。

この手が、人より強い力が、誰かを傷つけるのが怖い。

そしてその人に嫌われるのが、すごく怖い。


(わたしは、弱虫だ。)

力だけは強いのに。
化け物なのに。



こんな力、こんなわたし

(大っ嫌い)





「あーっ!わたし今日、委員会のお仕事あるんだった!」

わたしは麻理ちゃんの声で我に返った。


「…え!?あ、そなの?」

「うんっ!だからあたし、もういくね。鈴音、唯っち、ばいばい!」


麻理ちゃんはそう言って行ってしまった。