けれどその後しばらくしてから、そんなわたしの静かな喜びとは対象的な大きな声が響いた。


「いよっしゃああああああああああ!!!」


見ると坂下くんが盛大にガッツポーズをしていた。

黒板にはA班全員の名前が書かれていた。


教室が一気に騒がしくなる。

女子からは悲鳴に近い声があがった。


「うそー!沢田くんと違う班なんて最悪ー!!」

「沢田くんー!!」


沢田くん…、さっき坂下くんの近くにいた顔の整ったひとのことかな?

たしかにかっこいい顔だと思うけど、すごく人気なんだな…。


そう考えていると、教室のあちこちから男子の声も聞こえた。


「まじかよ、俺、藤谷さん狙ってたのに!」

「藤谷さんと遠足という俺の夢が…」


やっぱり鈴音ちゃん、人気なんだ。

すっごく可愛いもん。



「くっそー、謙太のやつ、これ見よがしにガッツポーズしやがって」


そんな声が聞こえて、わたしは気づいた。


(ああ、そういうことか)


さっき坂下くんがあんなに喜んでいたのは、坂下くんも鈴音ちゃんが好きだったからなんだ。