「わ、わたし彼女を二回も怒らせちゃった」

「うーん、別に怒ってる訳じゃなくて…」


そのとき、ガラアッと勢いよくドアが開いた。


パタパタと軽快な足音がこっちに向かってくる。
それはわたしの前で止まって、そのときわたしは初めて『彼女』を見た。

(う…わ…、可愛い…)

彼女は、形容出来ないほど整った顔をしていた。

そんな彼女が口を開いた。


「ほら、あんた!消毒液と絆創膏、貰ってきてあげたから感謝しなさい」

「……え!?あ、ありがとう」


もしかしてそのために、あんなに急いで実験室を出て行ったの?



そしてわたしは、彼女の肩が小さく上下していることに気づいた。


「わたしのために、走って…?」


わたしが思わず言うと、彼女は顔を真っ赤にして否定した。


「ち、違う!わたしがあんたのために走るとか、バッカみたい!」


…あ、照れてるんだ。

この言葉は多分、照れ隠し。