「だ、大丈夫、です」
「あーっ!駄目だよ、素手で触っちゃ!」
元気がいい彼女の声が響く。
彼女はすぐにほうきとちりとりを持ってきてくれた。
優しいな。
「これでばっちりとり!」
でもちょっと、馬鹿だな。
わたしは思わずクスッと笑いをこぼした。
破片を片付け終わった後、彼女はちょっと困ったような笑顔でわたしに言った。
「ごめんね、あのこ、悪気はないんだよ?」
「あのこ?」
「鈴音。さっき内森さんにきつい口調で話してたやつ。」
ああ、あのこ…。
すずね、っていうんだ。
俯いてて顔はよく見てないけど、素敵ななまえだな。
