パリン
高い音と共に、試験管が割れた。
指から血が滲む。
「ち、ちょっと!」
焦ったような彼女の声が聞こえた。
わたしは俯く。
(また、迷惑を…。)
「あーもう!あんた片付けもまともにできないの!?ほんと最悪!」
そう言って彼女は、パタパタと走って実験室から出て行ってしまった。
周りはしばらくざわついていたが、そのうち収まった。
散らばる試験管の破片。
(指も、痛いや。)
泣きそうになるのをこらえて、それを片付けた。
素手で触ったせいで、また指に傷がつき血が滲む。
「大丈夫?」
突然聞こえた優しい声。
それがわたしにかけられたものだと理解するのにしばらくかかった。
