しかも、もう実験も終盤らしい。
わたしのレポートは真っ白なのに、実験班の皆のそれには何かしら記録されている。
白衣の先生が手を叩いた。
「えー、もう時間もないので、号令は無しにします。終わった班から片付けて教室に戻るように」
わたしは頭の中が真っ白になった。
頭の中と同じく真っ白なレポートが、余計にわたしを焦らせた。
「ねぇ!あんた!」
そのとき、急に声をかけられて、わたしはびっくりした。
「うえ…と、わたし、ですか…?」
話すのは緊張する。だから自然と小さな声になってしまう。
ああ、自分が嫌だ。