勇輝なりの配慮か、周りに聞こえないように小さな声で続ける。
「そんなキモイお前が、内森サンなんて落とせると思うの?」
「うっ…」
耳に痛い言葉だ。それも気持ちいいけど。
そんなことを考えて、自己嫌悪。
「いや、たしかにこれはキモイわ俺。」
「だろ?…でもまあ、俺は応援しないこともないけど。」
「お前ツンデレだな」
言いつつ、最前列ど真ん中の席に目を向ける。
そこには花壇で出会った彼女が座っていた。
そう、驚くことに彼女、内森 唯は同じクラスだったのだ。
まだクラスの連中全員を把握できていないし、俺の席からじゃ彼女の後ろ姿しか見えない。
さらに休み時間は勇輝との言い合いに忙しい俺は、おとなしい彼女の存在に気づくわけがなかった。
(同じクラスなんて、本当にびっくりだ)
でも、嬉しい。
