(懐かしいな)


小学校のとき、小さな鉢でいちごを育てた。

わたしは力が強いから、そうっとそうっと、潰さないようにものすごく気を使って大切に育てた。

小さくて薄い緑の実がなって、それがだんだん赤くなって。


ついに真っ赤に染まった実に、わたしは嬉しくて浮かれて、手にとった瞬間、潰しちゃったんだっけ。


(たしか、大泣きしたんだよね、わたし。)


あのときは悲しかった。
けれど植物が嫌いになったわけじゃない。

むしろ、すきだ。


でも、あれ以来育てたりはしていない。

ただただ触れないように、見てるだけ。