16の月-過去に戻れたら‥【完結】

再び、鉄の錆びた階段を降り、高宮さんに尋ねる。

「挨拶…していく?」

頷いた高宮さんは、
工場へと入っていった。


俺は表で待つことにした…








今のうちに少し、整理をしよう…


予想外の展開に俺も実際の所どうしたらいいのか解らなかった。

とりあえずは、高宮さんをここに置いとくわけには行かないのは確かだ。

じゃあ何処に…って俺の所しかないよな‥

でも高宮さんが「うん」と言うのだろうか‥



それより何より、俺は高宮さんの人生を
一緒に背負って生きていけるのだろうか。

自分の器以上の事をしている気がする‥

大丈夫なのだろうか…

不安は山ほどある‥

でもそれは、きっと高宮さんも同じだろう‥

今は少しでも不安を取り除いてやりたい‥

不安を微塵も感じさせたくはない…



そうこう考えているうちに、高宮さんが工場から出て来た。




ゆっくり

ゆっくりと

近づいて来る…



真夏の蜃気楼がゆらゆらと高宮さんを覆い尽くす。


4年前に高宮さんが手を振っている姿と重なった。



思わず、これは幻なのかと目を擦ったが

幻なんかではないんだと、安心した。





「行こう。」と微笑む。

高宮さんはコクリと頷いた。