「ごめんねぇ‥兄ちゃん、会いたくないんだって‥」
オバサンが大きくため息を着いた。


「じゃあ…来るまで待ってるって伝えて下さい。」
と言って、俺はその場で座り込んだ。


「そお?来るとは思わないけど言って来るわね。」

オバサンがまた工場へと入って行った。



そしてまた、オバサンだけが戻って来た…

首を横に振っている。



「…そうですか。まあでも今日は待ちますよ。」
そう言って、持ってきた小説を取り出した。


今日はテコでも動かないつもりで来たので準備も万端だ。


30分…


1時間…


と時間は刻々と過ぎて行く。


オバサンは作業をしながら、時々手を止め、俺の方を見ていた。


2時間程経って、オバサンが俺にお茶とおにぎりを出してくれた。


「兄ちゃん、頑張りなよ。ささ、これでも食べて。」

やっぱり田舎の人って優しい…

「ありがとうございます。」と頭を下げておにぎりを頬張った。

オバサンは満足気に頷き、仕事へ戻って行った…