「それより、どお?? どお?!」
さっきまでしょぼくれていたくせに、身を乗り出して感想を聞きたがる千秋。
やっぱり千秋は絵が上手い。
漫画家なんだから上手いのは当然なのかもしれないが、それにしても綺麗で、素人目から見ても丁寧に描かれている事が分かる。 それに・・・。
「・・・エッロ」
「へへっ」
オレの素直な感想に、千秋が嬉しそうに笑った。
「『エロい』は今のワタシにとって最大の褒め言葉。 流山先生も褒めてくれたんだ?」
千秋がオレに1番に見せたわけではない事を知って、謎にガッカリ。
でも屈託無く笑う千秋が子どもみたいに可愛く見えて、頭を撫でたくなった。
・・・って、千秋の頭、撫でてしまっているではないか、オレ!!
「・・・お??」
千秋がオレを見上げる。
「よ・・・よく出来ました??」
自分の行動が理解出来ない為、発する言葉も疑問系。
「あ、どうも」
千秋が、首を傾げながらとりあえずのお礼を口にした。
そりゃ、千秋もリアクション取れなくて当然だ。
「・・・じゃあな」
引き際が分からなくて『じゃあな』などと言ったはいいが、行く所はキッチンで、パスタが出来ていれば1分もしないうちに千秋の席に戻る事になる。
え?? オレってこんなに馬鹿だったっけ??



