「愛ー。起きなさい、もう朝よー?」
朝、いつもお母さんのこの声で起きる。
「わかってる。」
こう言って、私はむくっと起きる。
…んーもう。
めんどくさ。
学校…行きたくない。
毎朝そう思ってる気がする。
着替えてから学校行く準備して、朝ごはんを食べる。
いつもお母さんと二人で食べる。
お父さんは単身赴任で、なかなか帰ってこない。
だからほぼ毎日は、お母さんと家で二人。
キョウダイは私にはいない。
お母さんは、毎朝私と朝ごはんを食べれて嬉しそう。
お父さんがいない分、お母さんに寂しい思いをさしちゃいけない。
私はそう思って、私はいつもお母さんの前で笑顔を作っている。
朝食を終えて、私は玄関まで足を運んだ。
「愛、愛ちゃん。お弁当忘れてるわよ。」
お母さんが私のお弁当を持って、パタパタと足音をたてながら私のもとまで来てくれた。
「もう、愛ってば昔っから忘れ物が多いんだから。」
お母さんは優しい笑顔を見せて、私にそう言った。
「忘れてた!ごめんお母さん。ありがと。いってきまーす!」
私も笑顔を見せて、そう言った。
「いってらっしゃい。」
優しい笑顔のお母さんが、そう言って送り出してくれた。
家を出た私は、学校に向かう。
重い足を運びながら。
七瀬 愛(ななせ あい)。
16歳。
今日も、いやな一日が始まる。