「――――いい?」 艶やかな掠れた声が耳元で囁き、不覚にも身体の奥深くがざわついた。 既に私をベッドに組み敷いておいて、今更だ。 彼の唇が私の頬に微かに触れた気がした。 そんなおぼろげな刺激にも、私の身体は悦びに震える。 ほんのりスパイシーでミステリアスな香りが、私の鼻孔をくすぐった。 19歳の誕生日にプレゼントした香水を、彼は三年経った今でも愛用している。 私のことが好きなのかもって、そんな勘違いをさせる彼が憎らしい。